にゃんにゃんの安住の地を見つけて少しだけ安心な日々を送っていた私達の引越しの日が
いよいよ近づいてきた。
この基地を立つ2週間前にはこの家を出なければならないので、
後数日で荷物が運び出される。
にゃんにゃんは荷物の前に引越ししなければいけないから、今日にでもと家主をせかして例のシェリルがいる施設へ電話してもらうことにした。
家主が電話をしている間、私は何もわかってないにゃんにゃんを抱きしめ、
「あぁ、もうすぐお別れね、、思い出をありがとう。」などと感傷に浸りながら
電話口の家主の会話を聞いていたのだが、
調子よく話していた家主の口調が
「ハイ、ハイ、ハイ・・・・ハイ??」
と、だんだん怪しい雰囲気へと変わっているのに一抹の不安を抱いていた。
カチャン。
電話を切った彼の表情から、どうも問題があるらしいことは間違いない。
「なんだって?」
「いや~それがさ、あそこノート3ページ分もウェイティングリストがあるんだって。」
「!!??」
「どのくらい待たなきゃいけないか分からないらしい・・・」
えっ!?何?だって私達ってすぐここを出るのよ?どうすんのよ!?
だってだって、そんな事言ってなかったじゃん?
なんで今更そんな話が出てくるわけ?
冷静に考えれば、ほぼ無料で飼えなくなったペットを一生面倒見てくれるのだから、そんな素晴らしい施設を使う人は大勢いるに違いない。ましてや、パームスプリングスは一年中温かい気候なゆえ、全米から老人の方たちがやってきて形成しているコミュニティーなのだ。
高齢者のペットが飼い主を亡くしてしまうというのは日常茶飯事だと思うし、それゆえに設立されたサービスだと思うのは当たり前のことだろう。
しかし自分の猫のことしか頭に無い私は、もう、私は完全にパニック状態である。
私達の荷物の申告はもう済んでいて切符も出ているから、今更猫を追加することなんて出来なかった。
一緒に連れていこうにも、これからの2週間は猫アレルギーの人の家にやっかいになり、
その後は1週間かけて車でカリフォルニアからノースキャロライナまでアメリカ大陸横断をし、
そこでこれまた猫アレルギーの義母のウチで1か月を過ごすのだ。
そのまた後は飛行機を5回も乗り継いで(どんなルートや?)太平洋をまたがる長時間のフライトで沖縄へ行くという予定を組んでいる私達にこのにゃんにゃんを一体どうしろというのだぁ~!?
「あ”あ”~~~~~~~っ!!!!」
完全にトチ狂ってしまった私を見ながら、家主はとても困惑した表情をしていた。