ボクは長男

ボクは長男

ボクは長男

 

 

にゃんにゃんが来てから約1年半のちに、
人間のベイビーがウチにやってきた。

 

 

やってきた、というか私が産んだんですけど。

 

 

ベイビーがウチにやってくるに当たって、

 

実家から家主の親から、

 

にゃんにゃんには冷たい視線が投げかけらけられていた。

 

 

なぜなら彼は8kgの巨漢、噛みぐせがあるし、愛想もよくないし、
なんたって黒猫ということから、猫嫌いの実家の父親はこともあろうか、

 

私の可愛い可愛い猫ちゃんを「悪魔のネコ」と呼び忌み嫌っていたのだ。

 

 

私の父親はその「悪魔のネコ」が彼の初孫を食べてしまうんじゃないかと心配だったらしいw

 

 

出産前から電話するごとに

 

「ネコはどこか~?ちゃんと部屋を分けておけ~。」だの

 

「本当にあのネコは居てもいいのか?」

 

だの散々な言われようだった。

 

 

そして困ったことに家主までがそれに影響を受け、ベイビーにネコを近づけてはならない。と
私に厳しく言いつけたのである!!

 

ペットのアナコンダが赤ちゃんを食べてしまった痛ましい事件は起こってしまったけれど、
猫に食べられた話は聞いた事がないぞー!君達!

 

 

 

さて、そんな中生まれたてのベイビーは我が家へやってきた。

 

よく飼い犬が赤ちゃんに嫉妬して変な行動をとると言う話は聞いていたが、
うちのにゃんにゃんは新しい家族には何の関心も示さなかった。

 

近寄りもしなければ、匂いも嗅ぐ事もないし、ただひたすらいつもの様に
カウチの上でグースカ眠りこけていた。

 

 

唯一彼が興味を示したのはベイビーのバスタイムだ。

 

アメリカ式ではベイビーがちっちゃいうちはキッチンのシンクにベイビーバスを置き
温かいお湯を流し入れてお風呂にする。

 

お着替えはダイニングテーブルの上でするのが我が家流だった。

 

 

 

にゃんにゃんはこのバスタイムになるとどこからか必ずやってきて、
ダイニングテーブルの端に腕を丸めて座りこみ、

 

カホカホになってまさに「赤ちゃん」になったベイビーをじぃ~っと見つめるのであった。

 

シワシワの皮だらけでゆでだこみたいに真っ赤になり、ビービーうるさく泣き叫ぶ
この不思議な動く物体を彼はなんだと思ってみていたのだろう。

 

 

彼はベイビーの髪の毛を乾かすといつも決まってそっと近づき、
少ない髪をベロベロと舐めていた。

 

 

ベイビーの髪はとっても薄かったので、ギザギザした彼の舌で舐められてると
そこだけさらに赤くなってしまったものだった。

 

あれは本能で可愛がっていたのかなぁ?

 

 

それともお兄ちゃんぶりを発揮したかったのか?(んな訳ない?)

 

 

まぁとにかくベイビーは「悪魔のネコ」にいたずらされることもなく、
すくすくと成長していったのであった。