食事を終え、満足そうなクロネコを改めて見てみると、
ホコリにまみれたその姿はほんとうに汚なかった。
砂だらけで毛はところどころドレッドヘアのように固まって、
毛繕いしてもちっともキレイにならなってない。
舐めてもなめてもボサボサの黒い長毛・・・
いくら野良といってもこれじゃぁね、ということで私は猫にとってはありがた迷惑の
全くのお節介だと知りつつも、彼を外で洗ってやることにした。
私の経験からすると、ほとんどのネコは水が嫌い。
野良も類に漏れず、ホースを見たとたんに顔がこわばり、ジタバタ逃げようと必死になっていた。
せっかく洗ってあげるのに逃げられちゃしょうがないよ~。って事で彼を紐でくくり
ガレージの柱に繋げて、少しの間我慢してもらう事にした。
固まってしまった野良に、最初ほんの少しだけシッポの先を濡らしてみたら、
こわばった顔を更に引きつらせ、猛ダッシュを始めて大暴れ!
引っかくわ、噛みつくわ、猫キックするわで、こいつは相当な暴れんぼう将軍だった。
諦めることなく、ジタバタ必死こいて逃げようとする彼を「まぁ、大人しくしててよ」となだめすかし
クシで(このクシが実は家主のお気に入りだった。後にバレて怒られる^^;)
毛をとかそうとするのだが、何かが引っかかって上手く梳かせない。。
見ると彼の長い毛にはあちこちに噛んだ後のガムがくっついて固まっていた。
裏の公園で遊んでいるガキ達が遊び半分でくっつけたのだろうか?
または、砂の上でゴロゴロしてる内に、砂に混じったガムを長い毛が拾ってしまったのか。
これはとてもじゃないけどクシでは取れなかったので、
良策かどうかは分からなかったけれど、取りあえず思いきってはさみでその部分をちょん切ることにした。
ガムくっつき地帯は5、6ヶ所あったのでずいぶんとハゲが出来てしまったが、
まぁ、毛はすぐ伸びるので大丈夫でしょう。と信じての決行であった。
一通り洗ってドライヤーでぶーんぶーん乾かしてみると、
実は、彼はまんざらでもない男前な猫と言うことが分かった。
日本猫とはちょっと違う、ソースっぽい顔にきりりとした目。
しかもトムさんにも似た横広がりなお顔。
短くもなく、かといって長すぎない、ちょっとカール気味なふわふわの毛。
「か、かわいい・・・」
「飼いたい・・・」
いかん、いかん!
ここでは飼う訳にはいかんのだ!
そう自分に言い聞かせては見たが、
こうやって猫と向かい合うのは1987年に死んでしまった実家の飼い猫以来で、
それ以降猫を飼っていなかった私の中の「猫飼いたい病」が
むくむくと頭角をあらわしてきてしまった。
むむむ。
ひとつ聞いてみるか。
どうやって家主を説得するかなぁ・・・
果たして許してくれるのか。
野良猫を、家に入れたはいいが、
この先のことを考えると結構頭の痛い私なのであった。