あちらこちらガムがくっついて、ところどころハゲが出来てはけど
シャンプーをしたらきれいになったクロネコは、
暴れ防止に繋げておいたヒモをほといて上げるとその日はどこかへ消え去っていった。
もうちょっと遊びたかったなーと放したことを後悔したが、
次の日も裏庭のフェンス側から彼はやってきた。
「くれぇ~~~くれぇ~~~メシくれぇ~」
ニャァ~という鳴き声が私にはそう聞こえて、やっぱり根負けしてゴハンをあげた。
その次の日もやっぱりやって来た。
私はやっぱりゴハンをあげた。
三日目のこと。
突然、昼間に家主がうちへ戻ってきたとき、私と彼はキッチンにいた。
家主「ん?・・・・なんで猫がいるの?」
私「・・・・・え~~~裏にいましたけど・・・」
家主「飼えないよ、ね?」
私「いや、飼わないけど、ごはんだけでも・・・」
家主「ごはんだけって言ったってさぁ~」
私「いえ、ゴハンだけです。中にはいれませんから。」
って、もう中には入っていたのだけれど(笑)、
こんなわけで迷惑そうな家主をなんとか説得した結果、ゴハンは裏のポーチで与え、
家の中には一切入れないという妥協案で落ち着いたので
彼はめでたくウチで毎日お飯を頂くことになった。一応。
なぜ一応か。
実は昼間家主がお仕事に行っている間、私は彼とのんびりリビングでくつろいでいたのである(^^)v
まるで浮気している昼メロの奥さんのように、夫の居ぬ間に彼とのひと時を楽しんでいたのだ。
昼間の間、彼を抱っこしたり、一緒に寝転んだり、寝顔を覗き込んだりとたっぷり楽しんだあと、
夕方になって家主が帰ってくる時間が近くなると何事もなかったように彼を外に出しておいた。
しかしながら、ネコも人間も1度イイ目にあうともっともっとと欲が出てくるのが当然の流れである事は否定できない。
クロネコは、昼間いることのできるリビングになんで夜は入れないのだ?と思ったのだろう、
夜家主がリビングにいる間、窓の外側にチョコンと座り
「じぃ~~~~~~~~~っ」と私達を見つめるようになっってしまった。
猫好きなら悩殺ポーズの、「前足揃えちょこんと座り」をし、
微動だにせず、ただひたすら「じぃ~~~~~・・・・」とこちらを窓の外から見つめ続けるのである(汗)
私「なんか、入れて欲しそうなんですけどぉ。」
家主「いや、だめ。」
私「可哀相だなぁ・・・・」
家主「・・・・・」
こんな会話が2、3日続いたように思う。
そしてついに3日目くらいの夜、
私「ちょっとだけ?」
家主「う~~~~~ちょっとだけなら・・・」
家主は基本的にとても優しい人なのである(^^)
1度入れてしまえばこっちのもの。ウシシシ。
最初は家主に遠慮深そうに窓際に座りっていたクロネコだが、
やがてじりじりと部屋の中央へと距離を縮め、ソファの足元に近づきつつ、
数日後にはソファの上にでろ~ん伸び切って陣取るようになっていった。
こうして外での生活ではなくなったためか、彼の毛並みはぐんぐんキレイなり、
体重もにわかに増え始めた。
私はそれが嬉しくてブラシを買って毎日ブラッシングをしてあげたものだった。
食事も缶、ドライ、スナックとあらゆる物を買い揃え、
美味しそうにほおばる彼を眺めるのが私の日課となっていった。
つづく